2017 総括
14回目を迎えたSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2017は、7月15日(土)~23日(日)の9日間、埼玉県川口市のSKIPシティほかにて開催され、メインとなるコンペティション上映に加え、特集上映や特別企画などの新企画も実施されるなど例年以上に充実したプログラムで開催されました。
開催初日のオープニング作品では、今年で3回目となる映画祭実行委員会がプロデュースした新作映画のワールド・プレミア上映が行われ、2016年の長編部門で『いたくても いたくても』がノミネートした堀江貴大監督が手がけた『ANIMAを撃て!』を上映しました。上映に先立ち、主演の服部彩加さん、小柳友さん、堀江監督による舞台挨拶も行われ、コンテンポラリーダンスとドラムのセッションに乗せて描かれる爽やかな青春映画にふさわしい、若さ溢れる雰囲気で幕開けを飾りました。本作は2018年に劇場公開も予定されています。
コンペティション部門には、世界85の国と地域から長編部門617本、短編部門153本、アニメーション部門40本の、合計810本の応募がありました。その中から厳正な審査によって選ばれた長編部門12本、短編部門12本、アニメーション部門10本を会期中に各2回上映。国内外から監督やプロデューサー、出演者らゲストも多数来場、上映後のQ&Aや舞台挨拶に登壇し映画祭を盛り上げました。
また、今年も2日間にわたり、こうのすシネマ(鴻巣市)、彩の国さいたま芸術劇場(さいたま市)でのサテライト上映も開催。短編部門、アニメーション部門のノミネート作品を上映しました。
今年の新企画である特集上映では、「飛翔する監督たち」と題し、過去に本映画祭でノミネートや受賞を経験した6人の監督をフィーチャー。白石和彌監督、中野量太監督、坂下雄一郎監督など、いまや日本映画界期待の新鋭として活躍する監督たちの、本映画祭でのノミネート・受賞作品を上映。上映後にはトークイベントも開催し、今ではなかなか観ることのできない、彼らの原点をスクリーンでご覧いただける貴重な機会となりました。さらにもうひとつの新たな試みとなった特別企画では、昨今話題のVR(ヴァーチャルリアリティ)に注目し、国内外の最新VR作品を鑑賞できる「Dシネマ―新たなる潮流」と、「ヨーロッパから見た日本映画」と銘打ち、ドイツ・フランクフルトで開催される世界最大規模の日本映画祭「ニッポン・コネクション」の最新受賞作『Start Line』(日本/今村彩子監督)を上映。同映画祭のプログラム・ディレクター、マーティン・ブレゲンツァー氏を迎えたトークイベントでは海外で求められる日本映画についてお話を伺いました。
さらに毎年恒例となったバリアフリー上映では、昨年の賞レースを賑わせた『湯を沸かすほどの熱い愛』を日本語字幕・音声ガイド付きで上映。また長編アニメーション上映では大ヒット映画『この世界の片隅に』と『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』の2作品を上映しました。
そのほか、関連企画では、地元川口市の「川口子ども映画クラブ」が制作した映画や、小学生がTV番組作りにチャレンジした映像学習プログラムから傑作選9本を上映した「カメラクレヨン」や、赤ちゃん連れでも気兼ねなく映画を楽しめる「ママ・シアター」、SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザを拠点に活動するクリエイターの制作作品を上映した「メイド・インSKIPシティ」、埼玉県寄居町を舞台に撮影された映画『花の兄』の上映など盛りだくさんの内容となりました。
映画祭最終日の7月23日(日)にはクロージング・セレモニーが行われ、コンペティション部門の各賞が発表・授与されました。長編部門では、ノルウェーとコロンビアを舞台に養子の息子と義父の関係を描いた『愛せない息子』(アーリル・アンドレーセン監督)がグランプリを受賞。ノルウェー映画の受賞は本映画祭では初の快挙となりました。短編部門は『冬が燃えたら』(日本/浅沼直也監督)、アニメーション部門は『I think you're a little confused』(日本/小川育監督)がそれぞれ最優秀作品賞を受賞しました。盛況のうちに幕を閉じたSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2017の総来場者数は、51,015名 となりました。15周年の節目を迎える2018年の開催に向け、若手映像クリエイターの登竜門として、また映画の素晴らしさを体験していただける映画祭として、より一層の発展を目指してまいります。
※掲載の肩書きは当時のものです。