あの時娘を裏切った女の声を私は忘れない！
それぞれの母親たちを繋ぐ政治サスペンス。

祖国イランで娘のミトラが処刑された日から37年が経ったいま、ハーレはオランダで高名な学者となっていた。しかし、娘を裏切り死に追いやった女の存在を知った時、彼女の心に復讐の炎が芽生える。

©Jurre Rompa

監督：カーウェ・モディーリ
出演：ヤスミン・タバタバイ、モフセン・ナムジュー、シャブナム・トルーイ、アヴィン・マンシャディ、サリー・ハルムセン

2021年 / オランダ、ドイツ、デンマーク / 106分

 

平和なオランダと混乱したイランの映像がフラッシュバックされる緊迫したストーリーが展開する中で、静かに浮かび上がってくる女性たちの人生ドラマ。非常に巧みなストーリー構成だが、本作はモディーリ監督が母たちから聞いた、監督が生まれる直前に亡くなった実の姉ミトラの物語を本として出版し、そこから脚本が書かれた映画である。モディーリ監督は、長編デビュー作『Bodkin Ras』（16）がロッテルダム国際映画祭の国際批評家連盟賞を受賞し、2作目となる本作も今年の同映画祭タイガー・コンペティション部門に選出された実力派。また、ハーレを演じたのは、『バンディッツ』（97）や『4分間のピアニスト』（06）に出演するドイツの女優兼歌手であるヤスミン・タバタバイ、そして、本作の音楽も担当するイランのシンガー・ ソングライター、モフセン・ナムジューが、ハーレの弟モフセンを演じている点も見逃せない。本映画祭がアジアン・プレミアとなる。