国際コンペティション
この雨は止まない
This Rain Will Never Stop
- 配信日時
- 9/25(土)10:00 ~ 10/3(日)23:00
- シネマディスカバリーズ
戦禍のシリアを逃れてウクライナへ…。
繰り返される悲劇を見つめるドキュメンタリー。
シリア内戦から逃れたスレイマン一家は、ヨーロッパ各国に散り散りとなってしまう。その中で、赤十字でボランティアをする二十歳のアンドリーはウクライナに渡ってくるが、その地もやはり紛争を抱えていた。
©Square Eyes Film
監督 : アリーナ・ゴルロヴァ
2020年 / ウクライナ、ラトビア、ドイツ、カタール / 102分
主人公アンドリーは、赤十字の仕事で、そして離れ離れになった親族に会いにクルディスタン地域の難民キャンプを訪れるが、道中は不穏な雨が降り続き、川は水嵩を増し、ついには橋が決壊して、その旅は終わりを迎える。それは、止まない戦争という悲劇の象徴に違いない。しかし、エンディングで旅を続けるアンドリーの姿には、人の生きる逞しさと、人生の希望が見て取れるのではないだろうか。また本作は、11章のスケッチから構成されているが、ラストにその章立ての本当の意味を知ったとき、世界から紛争がなくなることを願わずにはいられない。この深い感動を与える作品を監督したのは、ウクライナのドキュメンタリー作家アリーナ・ゴルロヴァ。前作の『No Obvious Signs』(18)が世界中で高く評価され、本作はワールド・プレミアされたアムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭でファーストアピアランス部門の作品賞を受賞している。
監督:アリーナ・ゴルロヴァ
ウクライナで生まれ育ったゴルロヴァは、カルペンコ=カリー記念国立演劇映画テレビ大学を卒業した後、実写の短編作品、公共および民間の広告制作で経験を積んだ。2016年、初めての中編ドキュメンタリー映画『Kholodny Yar. Intro』を完成させる。2作目となる『No Obvious Signs』(18)はライプツィヒ国際ドキュメンタリー・アニメーション映画祭2018で優れた東欧作品に贈られるMDR映画賞を含む、数々の賞を受賞した。
メッセージ
私は本作で、戦争によって世界各国に散らばったアンドリー・スレイマンの大家族を追いました。彼らの中には、戦禍を逃れた者もいましたが、逆に紛争に加わる者もいました。これらの対比は私たちに、戦争と平和が共存し、愛も戦争もパレードを開いて歓びを表すなど、互いが無くては存在できないほど、この世界が緊迫した状態であることを示しています。その境界で、アンドリー・スレイマンは彼なりのバランスと方法を模索しているのです。