国内コンペティション 長編部門
Song for Laurel
Song for Laurel
- 配信日時
- 9/25(土)10:00 ~ 10/3(日)23:00
- シネマディスカバリーズ
一方的な愛は、人を一本の木に変える…。
ギリシャ神話を基にした、幻想的な愛の物語。
父を亡くした恋人の学を心配して留学先から帰国したトウコは、共通の友人・佑の家で庭の月桂樹を描き続ける学の姿を目にする。学はトウコに、自分は佑を愛し、その愛が佑を一本の木にしてしまったと告げる。
©2021 東京藝術大学大学院映像研究科
監督:羽蚋拓未
出演:紫藤楽歩、菊地虹、村松和輝、菊地敦子
2021年 / 日本 / 76分
アポロンとダフネの物語をベースに、愛の方向となかなか交じり合えない愛の苦悩を、4人の男女を通して描いた寓話的な作品。第15期東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻修了作品だが、さすがの高い映像クオリティにまず目を奪われる。ギリシャ神話を基にしていながら、クラシカルな日本映画の佇まいを纏っているのは、佑の家の趣ある日本家屋と、その家の魅力を充分に引き出したカメラワークに因るところが大きく、入念なロケハンや時間をかけたリハーサルといったものを想像させ、やはりそれらが作品のクオリティには重要であると、改めて気づかせてくれる。脚本は小林令奈と二人の共著だが、しっかりとした脚本の書ける映画監督として、羽蚋拓未監督の今後に是非注目したい。
監督:羽蚋拓未
静岡県袋井市出身。高校で映画制作のWSに参加。卒業後、武蔵野美術大学映像学科に入学。パフォーマンスや実験映像など幅広く映像に触れながら、『夜のテニスコート』、『ウサギとそば』など精力的に映画を制作。卒業後、東京藝大大学院映像研究科映画専攻監督領域にて、諏訪敦彦、黒沢清両氏に師事。現在、フリーランスとして映像―音楽を行き来しながら活動。
メッセージ
私が生まれた静岡の袋井では、年に一度、子どもが大きな傘に入って故人を弔う歌を歌う。家々を回る。子どもだった自分には分からなかったが、そこにはたくさんの愛があったと思う。若者にとって喪失はロマンだった。でも過ぎ去ればただの深い悲しみだ。見渡す限りの砂の中。そこには何もないのだろうか。でもこの映画が完成したのは、そこに大切な何かがあったからだと思う。映画の時間の中、あなたの愛に出会えることを祈って。