国内コンペティション 短編部門
来夢来人/Limelight
<2019年 / 日本 / 36分>
扉を開けたら見知らぬ男。そこは元カノの家。
不意に訪れた日常の地獄。
俳優になる夢を諦め、運送屋のアルバイトとして働く健二。3年間付き合ったハルミと別れ、同棲していた家に荷物を取りに行く。約束より早く家に着いてしまった健二は、ハルミの新しい彼氏の裕二と二人きりになってしまう。二人の共通の話題はもちろんハルミ。気まずい雰囲気の中、ついにハルミが帰ってくる…。
監督:若葉竜也
出演:伊藤竜翼、薬丸翔、新井郁、大友律、長友郁真、新田秀人、栗尾軍馬
別れたばかりの男と女、彼女の新しい彼氏の三角関係の中で、男たちのつまらないプライドをテンポのよい会話劇に仕上げた本作を監督したのは、俳優として活躍する若葉竜也。『葛城事件』(16)での狂気的な殺人犯から、『愛がなんだ』(18)の繊細な青年まで幅広い演技力で、近年の日本映画界において若手実力派俳優の一人として地位を築く若葉は、監督としても活躍し、多彩な才能を持つ。最近では『蝉時雨』(18)で門真国際映画祭2018最優秀作品賞を受賞。夢破れ彼女にも愛想をつかされる情けない男を演じる伊藤竜翼は、若葉とはドラマ「ごくせん」で共演している。また、韓国映画『満月』(19)に出演するなど活動の場を広げる薬丸翔が見事に表現した、新しい彼氏としての自尊心を一生懸命保とうとする男の滑稽さも見所のひとつ。
監督:若葉竜也
1990年、大衆演劇若葉劇団にて1歳3カ月で初舞台を踏み、2016年、『葛城事件』で第8回TAMA映画賞・最優秀新進男優賞を受賞。俳優業と並行して作品も精力的に作り、2018年、 自身の監督作『蝉時雨』で門真国際映画祭最優秀作品賞を受賞。
メッセージ
エキセントリックな演出もない、芸術的なカメラワークもない。可愛らしい女優も出てこない。爆発もない、人も死なない、「叫んで泣いて走って」という青春の描写もない。もはや、青春という年齢でもない。というか、そもそも、そんな才能はない。自分がスケッチできることは他愛のない会話の中にある、ミニマムな人間関係を丁寧に描くことだと思います。哲学してる暇もなく、切実に生きる人々の中に真実があると強く信じています。