国内コンペティション 短編部門
つぐない/Payment ◊ ワールド・プレミア◊
<2020年 / 日本 / 38分>
消えた少女、影のある母親、物静かな管理人。
結末を知ったら必ずもう一度観たくなる。
行方不明になった幼い娘の帰りを待つ母・里美は、警察の捜査も難航する中で、密かにマンションの管理人を疑う。ある日、彼女はゴミ置場で出くわした管理人から、親子でしか知るはずのないあることを告げられる。徐々に判明してく事実の中で、最後に残される真実の結末とは?
監督:宮部一通
出演:占部房子、黒田大輔、正垣那々花、鈴木将一朗、木場允視、清水直子、長浜奈津子
観るものの予想を鮮やかに裏切ってくれる極上のサスペンスを制作したのは、CM・TVドラマ・映画と幅広く活躍する宮部一通。最近では新進気鋭の10人の映像ディレクターによる配信ドラマ「乃木坂シネマズ〜STORY of 46〜」(19)の監督にも名を連ねているほか、際立つ創造性を発揮した100人を選出する「映像作家100人2020」にも選ばれている。宮部は、本作で真実を伝えるファクターとして監視カメラを巧みに使い、その技術は自主制作の域を超えている。勤務先でも他人と交わらず、家でひたすら娘の帰りを待つ憂いのある母親を演じるのは、カンヌ映画祭のコンペティションにもノミネートされた小林政広監督『バッシング』(05)で主演を務めた占部房子。どこか不気味な雰囲気を醸し出すマンションの管理人を橋口亮輔監督『恋人たち』(15)で高崎映画祭の最優秀助演男優賞を受賞した黒田大輔が演じ、劇中での二人の鬼気迫る演技も見もののひとつ。本映画祭での上映がワールド・プレミアとなる。
監督:宮部一通
日本大学芸術学部映画学科卒業。卒業後は映像制作会社で広告・MV・ファッション映像のディレクションに携わり、2015年シチズン時計の広告映像にて世界三大広告祭The One Showのゴールドペンシルを受賞。映画制作は2016年の短編『帰ろう』から開始し、今作が2作目。脚本・撮影・演出・編集まで自身で手掛けている。
メッセージ
善悪では語ることのできない、人間の複雑さと弱さ、そして優しさをこの作品で描ければと思い作りました。しかしそれを描くということは自分の中に凝り固まって持ってしまっている様々なイメージを壊すことでもありました。過ちを犯した人は本当に悪人なのか?良い行いとは?子どもとは?母親とは?こうあるべきと思い込んでいたものを見つめ直した時、人間の複雑さを知りました。これを観た方々が何か感じるものがあればと願っております。