国内コンペティション 短編部門
stay/Stay
<2019年 / 日本 / 38分>
空き家を勝手に占拠している住民と彼らを退去させに来た若い男。
6人の不思議な一夜が始まる。
持ち主のいない古い空き家で共同生活を送っている男女5人。そこへ村の役所から派遣された矢島が彼らに退去勧告を言い渡しにやってくる。しかし矢島は、リーダー格の男、鈴山のペースに巻き込まれ、立ち退きを説得できないどころか、その家で一晩を明かす羽目になる。
©東京藝術大学大学院映像研究科
監督:藤田直哉
出演:山科圭太、石川瑠華、菟田高城、遠藤祐美、山岸健太、長野こうへい、金子鈴幸
集まってくる人を拒絶も執着もしない不思議なコミュニティに暮らす人々を描いた藤田直哉。立ち入り禁止と書かれた二階に通じる階段により、背景の描かれない男女の中にある微妙な力関係が映し出されていて、ポン・ジュノの『パラサイト 半地下の家族』(19)を彷彿とさせる計算し尽くされた構図と脚本に驚かされる。シェアハウスで中心的役割を担う鈴山を、『ロストパラダイス・イン・トーキョー』(09)で精神障害を持つ兄を演じた菟田高城が好演。また、鈴山に躊躇なく意見を言うマキには、昨年、『イソップの思うツボ』『猿楽町で会いましょう』とふたつの作品に主演した石川瑠華がキャスティングされていて、俳優たちの競演も見どころのひとつ。本作は、芳泉文化財団の映像研究助成を受けて制作され、第20回TAMA NEW WAVEで初上映されている。
監督:藤田直哉
1991年生まれ、北海道岩見沢市出身。明治大学法学部卒業。大学時代より実験映画を中心に自主制作を始める。現在は映像ディレクターとして活動中。
メッセージ
この映画は、この家に出会うことで生まれた映画です。旧来の日本家屋の中に現代人が住むとどうなるのか、どのようなコミュニティを作るのか、いろいろな疑問から作っていきました。また家族とはどういうものか、その在り方、コミュニケーションの形を改めて考え直す作品になりました。