国内コンペティション 短編部門
リッちゃん、健ちゃんの夏。/Ritsuko & Ken-chan
<2019年 / 日本 / 31分>
二人が逃げ込んだのは潜伏キリシタンの島。
その夏、私にとっての神様は健ちゃんだった。
東京への引っ越しを控えた中学2年生の夏休み。リツ子は、国語教師の健ちゃんを追いかけ、彼の実家がある黒島にやってくる。今もカトリックの信仰が根付く静かな島での、世間から隔絶したような日々。リツ子はあの手この手で健ちゃんを振り向かせようとするのだが…。
©渋谷TANPEN映画祭CLIMAXat佐世保2019 AOI Pro.
監督:大森歩
出演:武イリヤ、笈川健太、大國千緒奈
世界遺産にも登録された長崎の黒島を舞台に、中学生と教師の淡いラブストーリーを手掛けたのは、昨年も本映画祭の短編部門に『春』がノミネートされたCMディレクターの大森歩。前作で美術大生と痴呆症の祖父との関係を見事に描いた大森は、今作では女生徒と教師という設定の中で主人公たちのまっすぐな思いを題材に選んだ。本作は渋谷TANPEN映画祭CLIMAXat佐世保の制作。キリスト教徒が迫害されていた歴史を持つ長崎を舞台にすることで、潜伏キリシタンと、世間から距離を置いている二人が巧みに重ね合わせられている。CMやMVで活躍する主演の武イリヤが一途な女子中学生を見事に演じており、その演技力を引き出す大森の手腕は今後、CM業界の域にとらわれず、様々な場で目にすることができるだろう。
監督:大森歩
多摩美術大学卒業。AOI Pro.所属のCMディレクター。短編映画『春』が、国内外の映画祭にてグランプリを多数受賞。
メッセージ
物語の舞台、長崎県佐世保市の離島、黒島と黒島教会は世界遺産にも登録されたカトリックの漁師島です。黒島も戦後はとても栄えた島でした。過疎化の進む日本の田舎や島々に残る時代の移ろいを感じ、自分の学生時代や故郷を思い出してくれたら嬉しいです。