国内コンペティション 短編部門
ななめの食卓/Sitting at an Angle ◊ ワールド・プレミア◊
<2020年 / 日本 / 27分>
妻を亡くした男と、義母。家族でもあり、他人でもある微妙な距離感。
向かい合って座れる日は来るのだろうか?
一緒に暮らす会社員の達紀と義母の信子は、いつも決まってななめ向かいに食卓につき、会話にも態度にもぎこちなさを隠せずにいる。二人を繋いでいたはるは、交通事故で急逝していた。信子は娘を、達紀は妻を失った悲しみを抱え、互いを気遣いながらも自分たちの今後を決めあぐねていたのだが…。
監督:岸朱夏
出演:高間智子、清田智彦、谷川清美、玉置祐也、山下真琴
突然直面することになった「遺された家族の生活」を、戸惑いながらも次第に受け入れていく義理の親子を題材にしたのは現役大学生、岸朱夏。微妙な二人の心情を、毎日座る食卓の位置でうまく表現している。本作は早稲田大学の基幹理工学部による映像制作実習で制作されている。今年で5年目となる本プログラムは、映像学科や専門学校と異なり、映像制作の技術を学ぶことよりも、制作過程においてお互いの考え方や姿勢を学ぶことを目的としている。映像制作経験もほぼないスタッフの中で作り上げられたという事実に驚くものの、授業の担当教員に是枝裕和監督や篠崎誠監督が名前を連ねており、日本を代表する錚々たる監督陣の指導によるものだとわかると、納得もいく。本映画祭での上映がワールド・プレミアとなる。
監督:岸朱夏
2017年早稲田大学教育学部入学。映像制作実習2019において是枝裕和教授、篠崎誠教授、土田環教授の指導の下で初脚本、初監督となる本作を制作。現在、同大学の4年生。
メッセージ
この物語はすべて家の中で進んでいきます。たかが家族、されど家族。この映画は去年撮影されたものですが、このコロナの時期を経て改めて一緒に暮らすことについて考えてもらえたらと思います。普段は見過ごしてしまうようなありきたりで当たり前な生活の中に、実はたくさんのドラマが溢れていることへの気づきの一端となれば幸いです。