国際コンペティション 短編部門
短編 ① (合計76分)
春/Spring
<2018年/日本/27分>
地方に暮らす美大生の孫と痴呆が進む祖父。
二人にとっての春とは何?
美大に通うため祖父の家に居候するアミ。課題もうまくいかず、就活にも不安が募る中、介護が必要になっていく祖父との生活に苛立つ日々。しかし祖父の昔話を聞くうちに、アミの心境に変化が訪れる。
© AOI Pro.
監督:大森歩
出演:古川琴音、花王おさむ、加藤才紀子
<解説>
今どきの若者目線で、自身の就職活動に対する焦燥感と、家族を介護していかなければならない不安を絶妙なバランスで描いている本作。日本だけでなく、どの世界にも通じる普遍的な問題を扱った大森歩監督は、現在は制作会社でCMなどのディレクターとして活躍中。本作は、きりゅう映画祭の助成を受けて制作。文化庁メディア芸術祭の新人賞を始め、国内の数々の映画祭で上映・受賞。主演の古川琴音は、堤幸彦監督『十二人の死にたい子どもたち』(19)や山戸結希プロデュース『21世紀の女の子』(19)に出演するなど、期待の若手女優。祖父役の花王おさむは、佐藤B作らと劇団東京ヴォードヴィルショー結成後、舞台を中心に活躍している。
監督:大森歩
多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。AOI Pro.所属。
JURI/JURI
<2019年/日本/25分>
片方だけ落ちていた靴、血の付いた包丁、
このブルーシートの中身は…。
大学のオカルト研究会に入った眞由美。今年も研究会恒例の新人歓迎冬季キャンプが行われることに。夜も更け、オカルト話に盛り上がる部員たちは、トイレに行ったまま戻らないトモを探しに行く。
監督:西条みつとし
出演:仲原由里子、多田昌史、コガケースケ、濱崎ヒロキ、畠山U輔、米千晴、横井彩佳
<解説>
どんでん返しが何度も繰り返されるのは、昔から幾度となく使われてきた手法だが、本作は観客を惹き付けるために、その都度ストーリーの背景が描き分けられており、テンポの良い25分にまとめられている。監督・脚本を務めるのは、斎藤工監督『blank13』(18)の脚本も手掛けた西条みつとし。西条は芸人時代を経て、バラエティの放送作家などで活躍もしている異色の経歴の持ち主。本作は西条が主宰する劇団、TAIYO MAGIC FILMプロデュースの第一弾作品となる。主演を務める眞由美役の仲原由里子を始め出演メンバーの多くが同劇団員で、息の合った演技を見せている。本作はええじゃないかとよはし映画祭にて審査員特別賞に当たるとよはし未来賞を受賞。
監督:西条みつとし
1978年生まれ、千葉県出身。脚本家・演出家。2010年に14年間の芸人活動を辞め、TV番組の放送作家として活動。2012年に劇団太陽マジックを旗揚げする。主な脚本作品に『関西ジャニーズJr.のお笑いスター誕生!』(17)、『ゆらり』(兼原作、17)、『blank13』(17)がある。
メイリンの決めたこと/What Meiling Decided
<2019年/日本/24分>
就活、恋愛、…国籍。
中国人ハーフの大学生の葛藤を描いた青春ドラマ。
日本と中国、両方の国籍を持つ大学生・美鈴(メイリン)には、日本人の恋人・翔がいる。冬休みを翔と楽しく過ごす美鈴だが、彼女は22歳の誕生日までにどちらかの国籍を選ばなければいけなかった。
© What Meiling Decided 2019
監督:鯨岡弘識
出演:葉媚、徳永桜介、日高七海、里内伽奈、大原海輝、丸居みき飛
<解説>
現在、日本で暮らす中国出身者の数は92万人を超えているともいわれている中、二重国籍を許さない日本で、多くの外国人たちが抱える苦悩を爽やかに描いている本作。国籍問題という簡単ではないテーマを扱いながらも、恋愛、就職活動といった普通の20代の女の子の抱える悩みを織り込むことで、観客に共感を覚えさせることに成功している。監督は、現在映像制作会社でドラマやMVなどを制作している鯨岡弘識。タイトルロールでもあるメイリンを演じるのは、台湾出身でモデルとしても活躍中の葉媚。彼氏役を演じる徳永桜介は、鯨岡の前作『FROM TOKYO TO TOKYO』でも主演を演じるなど監督からの信頼も厚い。
監督:鯨岡弘識
1993年生まれ。東京を中心に映像制作を行う。学生時代から自主映画制作を始め、2018年には監督・撮影・音楽を担当した『FROM TOKYO TO TOKYO』(17)がSSFF & AsiaのCinematic Tokyo部門ほか多数の映画祭に入選。TVドラマ、MVなど多岐に渡るフィールドで活動している。