国際コンペティション 短編部門
短編 ② (合計79分)
multiple/Multiple◊ワールド・プレミア◊
<2019年/日本/23分>
「婚活」「初恋」「セカンド女子」
私たちって重いですか?
上京してルームシェアをする3人の同級生。不発に終わった合コン、都合の良い時だけ連絡をしてくる男、元カレが幹事をする同窓会…。飲み明かすある日の晩、彼女たちが互いに語るシアワセとは…。
監督:永冶ミユキ
出演:國枝佐和子、辻村優子、江田恵、日向寺雅人
<解説>
3人の女性がマンションの一室で繰り広げる密室会話劇。三者三様のキャラクター設定で、自分の周りにいそうな誰かを思い起こさせ、知らず知らずのうちに彼女たちの話に引き込まれていく。監督は女優としても活躍していた永冶ミユキ。本作が初監督作品だが、3人の女性以外誰も登場させない大胆さは、デビュー作とは思えないほど。また、各々の会話が長めのワンカットで撮られるところなども、物語にリアリティを与えている。3人の同級生を演じる國枝佐和子、辻村優子、江田恵はそれぞれ舞台、CMなどで活躍する実力派女優。本映画祭での上映がワールド・プレミアとなる。
監督:永冶 ミユキ
1983年生まれ。高校の演劇部時代から脚本を書き始める。卒業後、モデルデビューし、サッポロビールイメージガールに選ばれるなど、主に雑誌・CMの分野で活躍。その傍らで脚本を書き続け、第二子出産後、映画制作を本格的に開始し、今作が監督デビュー作となる。
遠い光/The Distant Light
<2019年/日本/19分>
助けてくれたのはお母さんだった―
美しい山で起こったミステリアスな話。
雪の降り積もる山間の村で、妻を事故で亡くした男は娘と母の3人暮らし。老いた母は山を見つめ、男は娘を連れて山へ入り狩りを続ける毎日。ある日、山へ迷い込んだ娘の前に死んだはずの妻が現れる。
©遠い光製作委員会2019
監督:宇津野達哉
出演:木村知貴、小林麻子、星野樹里、角張さつき、古見満男
<解説>
雪山、古い一軒家、ガレージでの鹿の解体と、幻想的でミステリアスな雰囲気を演出しているのは、フランスで編集助手、カメラマン、助監督として活動していた宇津野達哉監督。帰国後も映画、TV、CMなどの現場で撮影部や演出部として活躍している。美しくも幻妖な映像を手掛けたのは、『劇場版パタリロ』(19)でも撮影監督を務めた伊集守忠。主演を務める木村知貴は、2016年に木村知貴映画祭が開催されるほど、現在のインディペンデント映画には欠かせない存在。また、冒頭の自撮りムービーや、無線でのやりとりのシーンなど、計算しつくされたサウンドデザインも本作の魅力のひとつ。
監督:宇津野達哉
日本映画学校24期卒業。在学中は中原俊監督に師事。日本で数年間助監督として活動中、交通事故に遭い、その保険金を元手に渡仏。2015年にフランスで初短編『À moi seul』を監督。ドラマ、映画などで様々な部署を担当しながら、主にメイキングディレクターとして活動中。そのほかPVやVPなどでディレクターや撮影も行っている。
歩けない僕らは/Sticks and Stones◊ジャパン・プレミア◊
<2018年/日本/37分>
リハビリの先には何が待っている?
理学療法士と患者、二人の再生物語。
新米理学療法士の遥は、脳卒中で左半身が不随になった柘植のリハビリを担当することになる。「元の人生には戻れますかね?」と聞く柘植に、何も答えられない遥。現実と向き合う二人の日々が始まる。
© 映画『歩けない僕らは』
監督:佐藤快磨
出演:宇野愛海、落合モトキ、板橋駿谷、堀春菜、細川岳、山中聡、佐々木すみ江
<解説>
近年、医療現場が舞台の映画、ドラマは多いが、なかなか語られることのない理学療法士に焦点を当て、患者と医療関係者、それぞれの苦悩を丁寧に描いている本作。メガホンを取るのは、初長編作品『ガンバレとかうるせぇ』(14)が国内外の映画祭で高く評価を受けた佐藤快麿監督。若手理学療法士の離職率が高い現実を描くなど、取材を重ねていることが窺い知れる作品。宇野愛海や落合モトキといった若手俳優を支えるのは、数多くの映画・ドラマで存在感を示す山中聡に加え、本作が遺作となった佐々木すみ江。本作は香港のFresh Wave International Short Film Festivalでワールド・プレミアされ、本映画祭ではジャパン・プレミアでの上映となる。
監督:佐藤快磨
長編監督作品『ガンバレとかうるせぇ』(14)が、PFFアワード2014で二冠を受賞し、第19回釜山国際映画祭に正式出品されるなど、高く評価される。そのほかの監督作品に、『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』(16)、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭に招待された『きっとゲリラ豪雨』(17)がある。