国際コンペティション
ザ・クロッシング
The Crossing|La Traversée
- 上映日時
- 7/17(日)13:50 多目的ホール
- 7/20(水)17:30 映像ホール
- 配信日時
- 7/21(木)10:00 ~ 7/27(水)23:00
戦禍で両親と生き別れた姉弟の命の旅路。
ガラスに描かれた絵で紡ぐアニメーション。
内乱を逃れ、親戚の住む町を目指して列車に乗った一家。しかし、キョナとアドリエルの姉弟以外は、検問で捕らえられてしまう。その瞬間から、両親と再会することを願う二人の、驚くべき存命を懸けた旅が始まった…。
監督:フローランス・ミアイユ
2021年 / フランス、ドイツ、チェコ / 84分
ガラスに描かれた油絵を少しずつ直して動きを持たせ、長編のアニメーションにすることは想像を絶するが、キョナとアドリエルがたどった凄絶な人生を描くうえで、この手法はふさわしいものであったと言えるだろう。完成するまでに10年以上を費やした本作で、ついに長編デビューを果たしたフローランス・ミアイユはすでにアニメーション界の大家であり、彼女の短編作品は、カンヌ映画祭、クレルモン=フェラン国際短編映画祭、セザール賞などで数多く受賞している。これらの作品は日本でも、2007年に「フローランス・ミアイユ作品集」として発売されたDVDでまとめて見ることができる。本作は、2021年のアヌシー国際アニメーション映画祭の長編コンペティション部門でプレミアされ、審査員特別賞を受賞した。なお、ミアイユ監督の他の短編作品でも脚本を手掛けているマリー・デプレシャンは、フランスの巨匠アルノー・デプレシャン監督の実姉である。
監督:フローランス・ミアイユ
1956年生まれ。国立高等装飾美術学校で版画を専攻。卒業後、出版社のレイアウト担当として仕事をする傍ら、絵画や版画の展示を行う。1991年に初の短編映画『ハマム』を監督。2002年の『ある8月の第1日曜日』でセザール賞最優秀短編賞、2006年の『カルチェ物語』でカンヌ映画祭スペシャルメンションを獲得。2015年には一連の作品の功績が認められ、第39回アヌシー国際アニメーション映画祭名誉功労賞を授与された。ゴブラン、国立高等装飾美術学校、ラ・プードリエールなどで講師を務めるほか、監督業と並行してビジュアルアーティストの活動も続けている。
メッセージ
本作は二つの思いから始まりました。ひとつは私の家族の歴史について。曽祖父母は20世紀初頭にオデッサから逃れ、母と叔父は1940年にフランスの非占領地に向かいました。もうひとつはこの数十年で驚異的に増加した人口移動についてです。クルドやシリア、スーダン、アフガンの人々の家族の軌跡は、ユダヤ系である私の家族の経験に重なります。彼らは戦争や飢餓や迫害によって故郷を追われ、新しい人生を始める場所を求めて、危険に立ち向かう覚悟を決めた人々です。