国内コンペティション 長編部門
命の満ち欠け
The Waxing and Waning of Life
- 上映日時
- 7/19（火）13:50 多目的ホール
- 7/23（土）11:00 映像ホール
- 配信日時
- 7/21（木）10:00 ～ 7/27（水）23:00
底辺から這い上がろうともがく兄と弟。
生きることの苛酷を見つめた人間ドラマ。
兄ショウタは、薬物依存の更生施設から弟ユウサクを引き取り、その人生を基にした映画の脚本を執筆しながら弟に取材を始める。一方、新しい生活に馴染めないユウサクは、次第に薬物の禁断症状に苦しみ始め…。
©2022 K-zone.LLC.
監督：小関翔太、岸建太朗
出演：小関翔太、上原剛史、加藤紗希、伊藤慶徳、梅田誠弘、大塚ヒロタ、礒部泰宏
2022年 / 日本 / 105分
互いに愛憎の念入り混じる感情を持つ兄弟。二人の関係は、まさに「命の満ち欠け」のように、互いを満たし、同時にすり減らしてゆく。そんな、ひたすら生き抜いていかなければならない者たちの厳しさや痛みを凄まじいまでの熱量で描き出した本作は、俳優の小関翔太と撮影監督としても活躍する岸建太朗の共同監督で制作された。小関は自ら脚本を書き、青黒い顔色、落ち窪んだ瞼と頬など、薬物依存の弟に、身体、魂全体で憑依したかのような演技を見せている。一方、岸は撮影監督も兼ね、少年時代の回想とフラッシュバックで見せる花火のシーンを筆頭に、その映像の美しさとパワーで、作品に崇高さを与えている。また、兄を演じる上原剛史、弟に想いを寄せる加藤紗希など、他の俳優陣のアンサンブルも素晴らしいが、本作におけるルシファーのような役割を担う、『由宇子の天秤』（20）の梅田誠弘の不気味な存在感には圧倒される。
監督：小関翔太
大学卒業後、文学座研究所に入所して演技を学び、演劇、映画、ドラマに多数出演。その傍ら、肉体労働に従事しながら『命の満ち欠け』（22）の脚本を執筆する。主な出演作品は、「人魚伝説」（作・鄭義信）、「近代能学集」（作・三島由紀夫）、『アルキメデスの大戦』（19）、『万歳！ここは愛の道』（19）など。
メッセージ
私はこの映画の脚本を、若くして自ら命を絶った大切な友人に捧げるために書きました。そして、本作で主演を兼任した理由は、友人が抱えていたであろう絶望や苦悩を実際に経験しようとすることで、頭で理解すること以上の「何か」に触れたかったのです。映画を撮影していく中で、私自身、想像もしていなかった結末を見出すことができました。
監督：岸建太朗
2010年、監督作『未来の記録』（09）がSKIPシティ国際Dシネマ映画祭、トリノ国際映画祭、TAMA NEW WAVEなどで上映、受賞したほか、監督作『Hammock』（18）が、大阪アジアン映画祭2020にて芳泉短編賞を受賞した。また撮影監督作品として『海辺の彼女たち』（20）、『Noise ノイズ』（17）、『種をまく人』（16）などを手掛けている。
メッセージ
命について、私に見えること。私には見えないこと。その全てを捉えようと全身全霊をかけた。
