国内コンペティション 長編部門
ヴァタ ~箱あるいは体~
VATA
- 上映日時
- 7/18(月・祝)17:30 映像ホール
- 7/22(金)13:50 多目的ホール
- 配信日時
- 7/21(木)10:00 ~ 7/27(水)23:00
それは、遠い地で骨となった少女を故郷へと還す旅。
全編マダガスカル撮影の異色作。
マダガスカル南東部の小さな村。長老が男たちを集め、出稼ぎの地で亡くなった少女ニリナの遺骨を持ち帰って来るよう伝える。その命を受け、ニリナの弟タンテリと3人の男たちは、楽器を片手に旅に出る。
©FLYING IMAGE
監督:亀井岳
出演:フィ、ラドゥ、アルバン、ユジェニ、レマニンジ、サミー
2022年 / 日本、マダガスカル / 85分
冒頭から、映画には独特な時間の流れが存在し、そのリズムに慣れると、まるで自分たちがマダガスカルの村にいるかのような錯覚に陥ってくる、そんな不思議な作品である。そして、村の人々の営みには常に音楽と歌が溢れ、川のせせらぎや虫の音なども相まって、とても心地よい。監督の亀井岳自身、マダガスカルの音楽を題材としたドキュメンタリー『ギターマダガスカル』(14)の制作に際しては、「マダガスカルで音楽と表裏一体の死生観に出会い、人と自然を超えていく生命の連鎖がテーマになった」と語っているが、ドラマ作品となる本作においても、このテーマがしっかりと息づいている。また、マダガスカルの神秘的かつ土着的風景を余すところなくカメラに捉えた、小野里昌哉とナビの力強い映像も大きな見どころとなっている。
監督:亀井岳
2001年、造形から映像制作へと転身。旅と音楽をテーマに、ドキュメンタリーとドラマを融合させるスタイルで、初監督作はモンゴルの喉歌をテーマにした2009年の『チャンドマニ 〜モンゴル ホーミーの源流へ〜』。人々の営みと音楽を主題にしたロードムービー『ギターマダガスカル』(14)を2015年劇場公開し、2016年現地首都アンタナナリヴにて上映。マダガスカル音楽の深淵にある死生観に触れ、2017年から『ヴァタ 〜箱あるいは体〜』を製作する。
メッセージ
前作の撮影時、マダガスカル南東部で骨を運ぶ人たちと出会った。その後、どうしてもそのことが忘れられず、2016年、再び彼らが歩いていた場所を訪れた。マダガスカルでは、人生は永遠に続き、死はその通過点に過ぎないと言う。今を生きる私たちにとって、未来、あるいは過去とは何なのか。『ヴァタ 〜箱あるいは体〜』の構想は、彼らと出会った道の上から始まった。