短編コンペティション部門
短編 ③ (合計83分)
追憶ダンス/Remember!
<2016年/日本/25分>
記憶の掛け違いを巡る、二人の攻防。
果たしてその結末やいかに!
深夜のコンビニでアルバイトをしている鈴木は、強盗に遭遇してしまう。「あれ?お前鈴木?俺!佐藤だよ!」なんと強盗は、かつて鈴木の同級生だったと言う。だが鈴木は佐藤を思い出せず…。
©TEAM追憶ダンス2016
監督:土屋哲彦
出演:篠田諒、木ノ本嶺浩、青木玄徳、山﨑ケイ(相席スタート)、黒岩司、古谷佳也、日下雅貴、津田寛治
<解説>
深夜のコンビニを舞台に、店員と強盗の記憶の掛け違いを巡る、スピード感溢れる展開が光る本作。制作会社を経て、フリーの助監督として経験を積んできた土屋哲彦監督は『梨の花は春の雪』(07)で長編映画デビュー。山田裕貴主演の『闇金ドッグス』(15)は全国劇場公開され、スマッシュヒットを記録。好評を受けて2016年には続編『闇金ドッグス2』『闇金ドッグス3』も監督した。短編では、『豪速球』(11)が2012年の本映画祭短編部門にノミネート。今回が二度目のノミネートとなる。コンビニ店員・鈴木役の篠田諒は『俺物語!!』(15)、『人狼ゲーム プリズン・ブレイク』(16)などに出演。強盗・佐藤役の木ノ本嶺浩は「仮面ライダーW」(09:EX)で仮面ライダーアクセルを演じ、その後も『グッド・ストライプス』(13)、『桃とキジ』(17)などに出演しており、今後が期待される二人のダブル主演となった。
監督:土屋哲彦
CMの制作部、映画の助監督を経てディレクターに。2015年から2016年にかけて長編『闇金ドッグス』シリーズが公開される。一方で多くのTVCMやWebムービーの演出も手掛けるなど、ジャンルに捉われずさまざまな映像を作っている。
The Light Dances/The Light Dances
<2016年/日本/24分>
少年の優しさと街の灯りが、
少女の孤独を静かに包む。
東京郊外の住宅街。マスコミに囲まれ、住民たちの好奇の目に晒され、少女・渚は戸惑い、憤りを覚える。少年・暁はそんな渚に何も聞かず、行動を共にする。二人の小さな逃避行が始まる。
©Hajime Izuki / Happy Tent
監督:伊月肇
出演:蒔田彩珠、渡邉奏人、清瀬このは、優恵
<解説>
東京をテーマにした短編映像制作プロジェクト「TKY 2015」の一作として製作された本作は、東京の街を彷徨う少女と少年の足取りを淡々と追いながら、二人の微妙な関係性や感情の機微をセピア色の映像で繊細に映し出している。監督は、大阪芸術大学在学中に山下敦弘監督の『ばかのハコ船』(02)に参加し、塚本晋也監督、山本政志監督作品にもスタッフとして参加してきた伊月肇。初長編監督作品『-×-(マイナス・カケル・マイナス)』(10)が第45回ヒューストン国際映画祭長編デビュー部門で審査員特別賞を受賞したほか、ローマ国際映画祭をはじめ国内外の映画祭に招待され、その後の劇場公開でも好評を博した。主演の蒔田彩珠は7歳でデビューし、TVドラマやCMに多数出演、是枝裕和監督から高く評価され、同監督の『海よりもまだ深く』(16)、2017年9月公開予定の『三度目の殺人』にも出演している。
監督:伊月肇
大阪芸術大学映像学科卒業。大学在学中に山下敦弘監督作品に参加。映像制作会社退社後、塚本晋也監督作品に参加する。初長編監督作品『―×― マイナス・カケル・マイナス』(10)がローマ国際映画祭など国内外の映画祭に招待され、劇場公開。その後、短編『トビラを開くのは誰?』(11)、『籠の中』(13)を監督し、国内外で上映される。
サイレン/SIREN
<2017年/日本/17分>
隣人への不安と恐れに乱されていく日常を、
津川雅彦が重厚に演じきる。
サイレンが響き渡る中、アラブ系の男が、日本人の老人の家に押し入り、逃げ惑う老人を連れ去ろうとする。階段を駆け下りる姿に、明らかになる偏見と勘違いに満ちたこれまでの日々が重なる。
©クロマリズム
監督:三宅伸行
出演:津川雅彦、ハミッド・メッハリ・シーラマード、坂田雅彦
<解説>
三宅伸行監督は、ニューヨーク市立大学院映画学科で学び、帰国後、『116』(06)、『遺影』(06)、『Lost & Found』(08)、オムニバス作品『掌の小説』(10)の第ニ話「有難う」、ndjc2010参加作品『RAFT』(11)などを監督。『もはや ないもの』(12)では2012年の本映画祭短編部門奨励賞を受賞しており、今回が二度目のノミネートとなる。古びた団地という限定されたシチュエーションを舞台に、日本人の老人とアラブ人の男の間に起こった出来事を、冒頭からラストまで目が離せない驚きの展開で見事に描いている。短編だからこそ出来得たアイディアと構成に説得力をもたらしているのは、『狂った果実』(56)、『マルサの女』(87)、『0.5ミリ』(13)、『後妻業の女』(16)などの名優・津川雅彦。
監督:三宅伸行
京都府出身。広告代理店勤務を経て、映画監督を志し渡米。ニューヨーク市立大学院映画学科にて二年間学ぶ。帰国後、短編作品が数多くの映画祭で受賞。『もはや ないもの』(12)はSKIPシティDシネマ国際映画祭2013で奨励賞を受賞。映画監督以外にも、ドキュメンタリーやTVCMなど映像のディレクション、舞台の演出などで活躍している。
エクラド/Eclat
<2016年/日本/17分>
「桐生には龍がいる!嘘じゃない!」
真実を探す少年たちの友情譚。
母と暮らしていた東京から、父が住む桐生へ越してきた太陽。久しぶりに会った父は嘘ばかり。学校には馴染めない。ある日太陽は、父から聞いた龍を探すため、同級生の太一と共に山へと入っていく。
© 2016 有限会社 蔵
監督:加藤大志
出演:中田昊成、田港璃空、篠﨑功希、竹内晶子、石塚遥希、小栗了、鈴木麻衣花、佐々木仁
<解説>
これまで多くの自主映画、商業映画に撮影などで参加してきた群馬県出身の加藤大志監督は、本映画祭短編部門には二度目のノミネートとなる。2015年の本映画祭短編部門にノミネートした『きらわないでよ』(15)は、海外でもウクライナ国際短編映画祭、Kinofest(ルーマニア)、釜山独立映画祭などで上映され、第5回グアム国際映画祭ではBest Narrative Short 短編部門グランプリを受賞している。本作は第6回きりゅう映画祭のプロジェクトにより製作され、群馬県桐生市で撮影が行われた。両親が離婚し、母と暮らしていた東京から父の住む桐生にやって来た少年が、父親との関係や同級生と小さな冒険を通して成長していくさまを爽やかに描いている。
監督:加藤大志
1982年群馬県生まれ。ENBUゼミナール監督コース卒業。その後フリーのカメラマンに。2015年、監督作品『きらわないでよ』がSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2015をはじめ国内外で入選し評価を得る。