国内コンペティション 長編部門
十年とちょっと+1日
Ten Years + One Day
- 上映日時
- 7/18(火)14:20 多目的ホール
- 7/22(土)10:30 映像ホール
- 配信日時
- 7/22(土)10:00 ~ 7/26(水)23:00
何気なさ過ぎる日常、という皮を被った
未知の映画体験が、今、はじまる。
地元を離れ都会で暮らす原崎、菊島、森田は、地元に戻り十年ぶりに再会する。原崎と菊島はとある出来事をきっかけに疎遠になっていたが、森田の計らいにより3人の距離や空いていた時間が少しずつ埋まっていく。
©中田森也
監督:中田森也
出演:仲野修太朗、金子初弥、渋谷采郁、長森要、古林南、杉本惠祐、広島有、やまぎしゆうや
2023年 / 日本 / 82分
田舎の夏の道端。偶然に再会する同級生たち。互いに肚に一物を抱えながら、婉曲かつ直截な言葉の応酬が始まる。俳優と役の輪郭がぴったりと重なる人物造形。呼吸をするかの如く口から吐かれる言葉たち。穏やかな口調に油断していると、唐突に鋭利な刃物が差し込まれる。何気ない景色、人物、会話のはずなのに、目撃者たる観客は、緊迫感に飲み込まれ、息を詰め見つめることしか出来なくなる。彼らは黙らない。伝わらないのに諦めない。伝わることも期待していない。それでもなお話し続ける。一体何を、見ているのか。何が、起きているのか。頭の中に大きな疑問符を浮かべながらも、つい、凝視してしまう。知りたい、と思ってしまう。気づけば共に、この映画を生きている。本作には、未知の映画の不思議が満ちている。これからもこの監督の作品を見続けたいと切に願う。本映画祭での上映がワールド・プレミアとなる。
監督:中田森也
2020年頃から、仕事の傍らに自主映画製作を始める。2022年、ヘルニアに罹患している最中、本作の撮影を行う。2023年、本作が完成する。
メッセージ
明確に元となった出来事や人物があるわけではありませんが、過去に見たり、経験したりした、様々なことを思いながら、脚本の執筆を始めました。かつての世界が形を変えて、言葉になって、人物になり、俳優が演じることで、様々な瞬間や表情として生まれ変わるのを観るのは、面白く、不思議な体験であり、また後ろめたくもありました。かつての切実さが少しでも映し出され、掬い取ってもらえるのなら、ほんのちょっとだけ前を向いて歩いていける気がします。