国内コンペティション 短編部門
猟果
Hunting Results
- 上映日時
- 7/17(月・祝)13:50 多目的ホール
- 7/21(金)10:30 映像ホール
- 配信日時
- 7/22(土)10:00 ~ 7/26(水)23:00
夫と妻。猟銃とハンドベル。
果たして二人がこの猟で獲たものとは?
亭主関白な夫・直太朗は、妻・優子を連れて狩猟に出かける。娘が同性愛者だと知り、受け入れられない苛立ちを優子にぶつける直太朗。そんな中、彼の猟銃が優子の手に渡ってしまう。
©池本陽海
監督:池本陽海
出演:髙野春樹、田中佐季
2023年 / 日本 / 30分
狩猟へと向かう運転席の夫は、妻に高圧的な態度を取り続ける。妻はどこか飄々と受け流すが、それがまた火に油を注ぐ。家父長制的価値観に自縄自縛となった夫と長年その夫に耐え続けてきた妻。「有害な男らしさ」の象徴たる猟銃は、本作の重要な登場人物となり、その猟銃が妻の手に渡る時、二人のこれまでの均衡が崩れ、そこから新たな対話が始まる。頑なな男の価値観が妻の言葉にひとつひとつ、揺さぶられ始める。今、世界的に問われている「男らしさとは何か」というテーマを、ミニマルな会話劇に仕上げ、ユーモアも織り交ぜながら鮮やかな解として提示する池本陽海監督の手腕は確かだ。大阪芸術大学出身の池本監督は、卒業制作作品が既に高い評価を受けている。憎たらしさの中に潜む、滑稽さ、脆さを見事に演じ切る髙野春樹と、価値観の違いに対し諦めず向き合い続ける妻をしなやかに演じる田中佐季が素晴らしい。本映画祭での上映がワールド・プレミアとなる。
監督:池本陽海
1995年滋賀県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。卒業制作の『BAD TRIP』(18)がカナザワ映画祭などの国内の映画祭で上映される。その後はフリーランスとしてメイキング撮影や映像編集に携わる。本作が大学を卒業して4年ぶりの監督作品となる。
メッセージ
価値観をアップグレード出来ない旧型の人間は社会から爪弾きにされてしまうのが現代であるが、そんな人間を、ただ排斥するだけの社会にはしたくない。そんな思いから本作は制作した。また予算のない現場でのより良い映画作りは、反復を活かした脚本が節約とウェルメイドさを両立させる肝であると思い、前半と後半で立場が逆転する、という構造を取った。同じアイテムでも、違う視点を持たせられれば、非常に効率がいい。